ぐるっとまわって

やることがあるんだかないんだかよくわからなくなったので、本当はダメだけど今日はお酒を飲んでしまった。飲んだ後にやっぱり息苦しくなって飲まなきゃよかったなと思った。

夕方、夫が犬の散歩へと連れ出してくれた。緊急事態宣言中には子どもやランナーでごった返していた河川敷の人たちは各々の帰るべき場所へと帰ってしまったようで、そこにはいつもどおりのひっそりとした日常が横たわっていた。私はその「普通」の日常に取り残されて、海のある方向から吹く塩っ気のある風を犬と全身で浴びるだけ浴びた。そんなにきれいな川じゃないけれど、その瞬間は無性に水のなかに飛び込んでしまいたかった。何も見えない水中でぐるっとまわって溶けていたかった。

絶望ごっこはもうやめよう、と改心した数時間後にまた絶望しているので、もう履歴書の趣味の欄には絶望ですって書いたほうがいいのかもしれない。いつも免罪符を探している。この自粛期間中に少し肉のついてしまった背中にべたりと免罪符を貼ってくれたら私は安心して暮らせるだろうか。誰か書いてくれないかしら。実際は誰も書いてくれないし本当は貼ってもらわないまま生きていたいんだけど。

もし免罪符を背中に貼ったまま川に飛び込んだら、私のどす黒い皮も免罪符とともにはがれてきれいさっぱり脱皮したアタラシイワタシになっていたらいいなあと思いながら、小学校のバスケクラブらしき子どもたちの練習を見ている。私、唯一好きな球技はバスケだったな、地元の中学のバスケ部が強豪校じゃなかったらバスケ部入ってたかもしれないな、と思った。練習に励む子どもたちは曇り空の下できらきらかがやいて見えた。