『遥か別』『ロングヘアー日記(仮)』/文フリで手に入れた日記

文フリで買った本を読んだ。

『遥か別』伊藤佑弥さん
自分は日記というものを最近あまり書いていなかったし人の日記も読んでいなかったので、久々に人の日記を読めて新鮮だった。つい先月、2023年4月のことを記してあったから、私も日記中で触れられている出来事に関して、ああ、あのことかとわりかし鮮明に思い出すことができた。
奇妙な古本屋の話、鳩を踏む話。伊藤さんの日記は突飛なことはそれほど書かれていない(だいたい人生というものにそれほど突飛なことはそうそう起きない)。しかし、どこかにおやっと思える描写が含まれていたり、ああわかるなという描写があったり。小さい頃から馴染みのある綿菓子を食べていたら、ちょっとだけ弾けたような小さな刺激がある。日記だから、毎日あったこと考えたこと感じたことを記し続けていくものだからこそ、著者の感覚の機微が細かく感じられる。エッセイとは違う、日記のよいところ。

 

『ロングヘアー日記(仮)』オカワダアキナさん
オカワダさんの作品は久々に読んだ。彼女の日記をこうして紙で読むのは初めてかもしれない。日記と題しながらも本人が「あんまり日記っぽくないかもしれない」と記しているように、私がぱっと想像する日記の体裁とはすこーし異なるかもしれない。でも、日記の体裁なんて書き手が好きに決めればよいのだし、読み進めていくうちのこの体裁がしっくりと読み手の自分にも馴染んできた。
田舎における女、とくに嫁の役割は自分も辟易とすることがある。だから田舎を飛び出してきたこともあるが。別に都会にいたって、契約まわりの話について夫婦ふたりで聞いているのに明らかに夫にだけ説明されているなと感じたり、子供のことについて「お母さんが」と女だけ名指しされたりすることだってある。こうした違和と付き合っていかなきゃいけないこともわかっている。けどね。
あと、私も彼女と同じ、少し珍しい食物アレルギーがあるので、同じ人がいたんだとちょっと親近感がめばえた。